同級生

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 目を覚まして辺りを見回すと、どうやら廃工場のようだった。クソ寒いと思ったら裸でパイプ椅子に括りつけられていた。尻が冷えて寒さが身に染み、痛い位だ。  そんな俺の様子を、唐松がビデオで撮影しているのが視界に入った。 「あ、起きたー。さあ、視聴者の皆様、この男に何を望みますかぁ? SM? 激熱ロウソクでも垂らそうか? やっぱ腕をじわじわ切り落とす方がいいかなぁ? 生放送だからね、どんなことでも、この男が皆様が望む罰を甘んじて受けてくれるよぉー。リクエスト受付中だからねー」  何を、と言おうとしたが、猿ぐつわが噛まされていて、うー、としか言葉が出なかった。 「うわあっ、喜んでいるんだね! 僕も嬉しいよ。やぁーっっと、君に復讐できる時が来たんだからさあ」  復・・・・讐・・・・?  馴染みのない言葉に耳を疑った。 「これ、覚えてる?」唐松は持っていたビデオカメラを三脚に固定させ、右手一本で器用に左腕をたくしあげた。「あと五分我慢しろよって、僕を寒い日に学校の隅の木に括りつけて、この腕にたっぷりと雪をかぶせてくれたよね。しかもそれを忘れてそのまま放置して帰っちゃったものだから、発見が遅れてさあ。お陰で酷い凍傷になっちゃったんだ。辛うじてこの程度で済んだのは幸いって言われたけれど、その時から僕の左手、動かしにくいんだよねぇー」  見せられた彼の左手は赤くただれていて、完全に酷い火傷を負ったようになっていた。  だからさっきから、右手ばかりで作業を・・・・。  寒い裸の背中に、冷や汗が流れた気がした。ぶわっと鳥肌が立ち、笑顔で昔話を語る目の前の彼が恐ろしくなった。
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