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禁断の障子の向こうへ足を踏み入れたその瞬間、成海は唖然とした。いきなり森閑とした、薄闇に沈む空間が広がっていたのだ。
しかもその奥行きといったら、少なく見積もっても物流倉庫ワンフロア分はある。この店の外観から予測できる面積を、遥かに凌駕していた。
不思議なことにはだいぶ慣れたつもりだったが、あまりに突然だったので成海は固まってしまった。が、「ここで迷うと現世に還れなくなっちまうので、離れないでついておいでね」などと怖ろしいことをさらりと魚ノ丞が言うものだから、コクコク頷き大人しくついていく。
なんの迷いもなく歩いていく彼の背を追っているうちに、少しは成海の気も落ち着いて、周囲を見渡す余裕が生まれた。なにか壁のようなものが林立していると思ったが、どうやらとても背の高い――なにせ見上げてもモヤがかかっていて天井が見えないのだ――棚が連なっているようだ。
いずれも、紙や、それらでできた小物類が収められているのが見受けられる。どうやら、店で並べる品や、その前の材料を保管する場所らしい。
何度となく角を曲がって成海の方向感覚が失したところで、魚ノ丞はぴたりと足を止めた。
そこは少し開けた場所で、祭壇が設えられている。
清浄な白の敷布の上に、なにか整然と積み上げられたものが安置されていた。それ自体も白っぽかったが、大した光源もないのにさやさやとした煌めきを淡く敷布の上にこぼしているので、厳然とそこにあるのがわかる。
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