対決!謎の思い出!

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対決!謎の思い出!

「ぜい、ぜい、ぜい……」 「はあ、はあ、はあ……」  激論を交わしあった俺達は今、道路の往来で寝っ転がって倒れていた。  帽子に虫取り網、Tシャツ半ズボンの――毛むくじゃらのおっさんである俺。  露出ましまし、辛うじて乳首と股間をぎりぎり隠しているだけの色気を通り越して下品な赤い水着姿の――厚化粧のおばさんである彼女。  俺は山の化身であり、彼女は海の化身である。  ある議題をめぐって俺達は因縁のライバル同士であり、今日も今日とて山と海の堺であるこの道路にて(※車めっちゃ通るし邪魔に見えるが問題ない、俺達は自分が望んだ相手にしか認識されない触れないというチート能力持ちであるからだ!)激論を交わしていたというわけだ。  その内容はつまり。どっちが“子供達のひと夏の思い出”を作るに相応しい存在か、ということ!  ちなみにどちらも別方向に変態な姿である理由は謎。多分神様の趣味である。自分で言うのもなんだが趣味悪すぎて吐くレベルだろと言いたい。誰得なんだ。 「こ、今年も気合入ってるじゃねーか、海よ……!」 「貴方もね、山……!そこまで己の魅力をストックしているとは思わなかったわ……!」  ブッ倒れながら会話する俺達の間を、普通にぶんぶんと乗用車が通過していく。どうせ轢かれないので、俺達は歩道の端っこに寄るという配慮はしない。  まあ、特別な霊能力者かなんかで、俺達の姿が見える人間がもしここを通りがかったら――いろんな意味で目ん玉ひん剥くことになるだろうが。警察呼ばれるかもしれない、マジで。まあ呼ばれても、その警察官に俺達の姿が見えなければ問題ないはずだが、多分。 「今年の夏ももうすぐ終わり……山も海も観光客でいっぱいだったし、またしても決着がつかなかったわね」  べたべたの汗を腕で拭いながら言う海。汗で化粧流れてパンダみたいになってるけど大丈夫か、と心の中で突っ込む俺。ていうか、海と山の化身もなんで汗かくんですかね神様。 「まあいいわ。来年よ来年。勝負しようじゃないの。あたしと貴方、どちらが真の“夏”チャンピオンであるのかを!」 「そうだな、来年は特別な年だ。町の化身も相当張り切ってるから、あいつもライバルに成り得る……!負けねえぞ!夏の王者は俺、山だ!」 「いいえ、あたし、海よ!この素晴らしいぼでぃの魅力、人間達にしっかり堪能させてやるんだから!」  ふふん、と垂れ下がり気味の乳を突き出してウインクする海、俺はそのウインクを反射的に避けてしまう。  ブチギレた彼女の怒りを買って、第二Rが勃発したのはここだけの話である。
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