軍用装備品研究所

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 テディは指定された通りダウンタウンの真ん中にある研究所に着いた。これも軍事上の理由なのか、外観から見れば一般の建物と変わらないところにあって、知らなければここが軍関係の施設だとは到底考えられないたたずまいだ。  父から預かったIDを通してエントランスに入った。すると、入り口の扉が閉まる音がしたかと思うとカチャンという音がした。どうやらロックがかかったようで、扉を確認すると入り口扉の内側はノブがない。ということは中の者に通じないと出ることができないということか。  入ってすぐ左には応接室。正面には厳重な扉。玄関にある施設はこれのみで重い鉄の扉の先に何があるのかは一部の関係者のみしか知らない。  これは情報が漏れれば世界の平和を脅かし兼ねないだけでなく、開発中に生じたリスクを最小限に抑えるためでもある。  テディは父親から渡されたのは入口までのパスだけなので入れるのはここまでだ。そして、ここを出るパスは持っていない。これも来訪者の身分を確認し、不法侵入者であれば生け捕りにするためだ。  テディは奥へと続く扉の横にある受話器を取ってそこに書かれている     call 4699 thank you を見て指定の番号をコールした。 「おお、テディ。来てくれたのか」 電話に出たのは父だ。今日はどことなく声が弾んでいる。 「来てくれてありがとう。しかしこちらの準備が出来ていないので横にある応接室で待っててくれんか」 「うん、わかった」 「この電話は警備上の理由で一回かけると次はかけられんが、何か聞きたいことあるか?今のうちだぞ」  テディはノーというと電話が切れた。念のためもう一度4699をコールしたが、確かに繋がらない。軍関係の施設だけにセキュリティはしっかりしている。  
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