漆黒の球体

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「落ち着け……、落ち着くんだ」  テディはタイマーの正面にある椅子に座った。表示の時間が5:00になった次が4:59になったのを見ると、これは分秒の表示であることがわかる。自分の時計と較べれば間違いなく一秒刻みだ。  残された時間は5分足らず、テディは自分の頭にあるすべての知識と経験を机の上に広げた。  ここは軍事開発研究所、それ故テロの標的にもなっている。厳重なセキュリティシステムで関係者無しにここから奥へ入ることも外へ出ることもできない。そしてここにいるのは自分一人だ。そして目の前にある黒スイカの形状とこれ見よがしに取り付けられたタイマー…… 「ヤバイだろう、これは」  テディの頭が出したこの球体の正体について思い付くのは一つしかなかった。 「違う、違うって……」  必死にそれ以外の可能性を考えたがどれも覆すほどのものはなく、冷たく点滅する緑のランプと同じペースの鼓動が耳鳴りのように聞こえてきた。      4:30  タイマーは知らん顔して着実にゼロに向けて減り続ける――。ボタンを押せばどうだろう?テディはボタンに指を伸ばした。 「いや待て。時間はまだ、あるぞ」 ボタンを押すことよりこの場の状況を把握、そして打開すべきだと判断しその指を引っ込めた。  
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