ギャップ、ありますよね

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ギャップ、ありますよね

 実咲たちが事務所に戻ると、部屋の中で女子生徒たちが西垣と楽しげに話していた。 「あ、北柴さん!」  女子生徒たちが北柴に駆け寄ってきた。手にはかわいくラッピングされたお菓子がある。 「これ、家庭科の時間に作ったんです。良かったら食べてください」 「今度感想もくださいね!」  北柴が返事をする前に、女子生徒たちはお菓子の包みを北柴の手に押し付けて、そそくさと事務所を出て行った。 「北柴さん、モテますねぇ。食べるんですか?」  にやにや笑いながら実咲は北柴に言う。 「ま、まあ、貰ったしな」  クールで常に冷静な北柴は、顔に似合わず甘いものが好きなのだ。それは女子生徒の間でも周知の事実であり、北柴ファンはお菓子を作るとこまめに北柴に差し入れとして持ってくる。 「何か変わったことはなかったか?」  東海林が実咲たちに声を掛けた。 「特にはなかったですが、危うく告白現場に居合わせるところでした」 「そうか。青春だな」 東海林はパソコンから目を離さずに言った。隣の席の西垣は弁当箱をカバンにしまいながら、パソコンを立ち上げる。 「西垣さんは今日のお弁当は何だったんですか?」  チームの中で唯一家庭を持っている西垣は、愛妻家の子煩悩で有名である。料理が得意のようで自分で弁当を作って来ては休憩中に食べている。 180センチの大柄の男が美味しそうな手料理を弁当に詰めている。このことを知っている生徒は、弁当や料理談義をするために、西垣が昼休み時間中に休憩をとるスケジュールを事前に確認し、各々お弁当を持ち寄ってくる。西垣のシフトは瞬く間に女子生徒の間に広がる。ちょっとした諜報機関より情報収集は速くて正確だ。 女子生徒と西垣がお互いのおかずの交換や、上手くいかない料理のアドバイスをしあっている様子は見るからに微笑ましい。 「今日は、アスパラの豚肉巻き・だし巻き卵・ポテトサラダ・ミニトマト・炊き込みご飯のおにぎりだったよ」 「何ですか、その美味しそうなメニューは。羨ましいです」  今にもよだれをたらしそうな顔をする実咲。そんな実咲を見て、苦笑しながら西垣は実咲に言う。 「南雲さんも練習すれば上手くなるよ」 「私が不器用なのを知っての発言ですか、それ」
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