彼女は、どこに?

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彼女は、どこに?

 北柴の提案で、二人は事務所と同じ第一校舎の一階にある保健室に向かう。あいにく保健医は不在だったため、二人はそっと保健室に入る。しかし休んでいる生徒もいない。 「彼女、どこに行ったんでしょうか?」 「カバンも持っていなかったしな。担任の先生は……別のクラスで授業中か」 「下駄箱、確認しますか?」 「そうだな」  第二校舎の昇降口に戻り、笹崎の下駄箱を確認すると、上履きだけが残っていた。どうやら家に帰ったらしい。二人が不思議そうに顔を合わせていると、パトロール中の東海林と西垣に会った。外が暑いためか、二人とも汗を拭いている。 「どうした?」 「班長、笹崎由香里さんを見なかったですか?」  東海林も西垣も首を横に振る。どうやら二人も笹崎を見てはいないようだ。 「いや、見ていないが。何かあったのか?」 「西垣さんを訪ねてきたんですけど、いないって北柴さんが伝えたら、去って行っちゃって。授業にも出席していなくて、念のため下駄箱を調べたら靴がなくなっていました」  実咲の話を真剣に聞いてた東海林は腕を組んで考えている。 「どうしたんだろう? 俺に何か用事だったのかな?」  西垣は不思議そうに言う。どうやら心当たりはないようだ。 「特に何も言わなかったので、わからないです」 「とにかく、授業担当の教師に何か知らないか聞いてみよう」  東海林は西垣に指示をし、北柴とパトロールを交代して、実咲と共に校庭に向かった。授業はちょうど終えたようで、生徒たちはバスケットボールを片付けたり、整理体操をしたりしていた。授業担当の教師は、バインダーを持ち、生徒に声を掛けながら職員室がある第一校舎に戻ろうとしていた。 「あ、畑中(はたなか)先生。授業お疲れ様です。学内捜査部隊の西垣です」 「同じく、南雲です」  西垣は顔見知りの先生であっても、念のため身分証を示し自己紹介をする。声を掛けられた畑中は少し驚いた様子で西垣と実咲に頭を軽く下げる。体育教師の割に大人しそうな印象を受ける。 「あの、何か・・・・・・」  おどおどしたような雰囲気を醸し出しながら、畑中は西垣の声掛けに応対をしてくれる。 「笹崎由香里さんは、授業に出席していましたか?」  畑中はバインダーに挟んである出欠一覧を見て、答える。 「今日は、欠席ですね。本人からの申し出がありました。具合が悪いから早退する、と」
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