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前略 舘野純玲さま・・・
君と知り合ってから
どれくらいの月日が流れただろう?
どちらかと言えば女子と話すのは苦手な僕が
君とはこんなに話すようになったけど
いつが初めてだったか…覚えていない。
きっかけは些細、なんてもんじゃなかった
高校1年の時からずっと同じクラスだったのに
それまで話す機会がほとんどなかった
純玲と会話が生まれたのは
高2の3学期に
彼女の親友である山本愛菜香に
僕が告白してフラれたことがきっかけだった。
そして僕たちは
早くも高校生活最後の1年を迎えていた。
そんな高3の1学期、ある日のお昼休み
教室の一番後ろの席に隣合わせに座っている
純玲が僕にこう言った
「この度は大変辛い思いをされたそうで…ふふ」
「や…やっぱ知ってんだ?女子はみんな」
「でもね、あの一件で今井くんの"株" は急上昇したんやけんね」
「え?それ、どう言うこと?」
ー 女子の間ではね・・・
フラれた後でも懲りずに何度も言い寄ったり
告白を繰り返す諦めの悪い男子って
ほんと、風のように噂で流れてきて
一瞬で評判悪くなるんよ、
「え?そうなんだ?」
「今井くんは、あれから愛菜香のことキッパリ
諦めて距離置いたやん?」
「うん、そうだった」
「"潔くっていいよね"、って女子の間で噂なんやけん」
驚いた
僕はこれまでの人生史上、最も勇気を出して
愛菜香に告白してフラれていまい
ただただ奈落の底まで落ち込んで
愛菜香の視界から外れたつもりだったのに
女子の間ではそんな高評価を得ていたとは…
正に瓢箪から駒とはこのことだ。
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