01. 雑踏

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前略 舘野(たての)純玲(すみれ)さま・・・ 君と知り合ってから どれくらいの月日が流れただろう? どちらかと言えば女子と話すのは苦手な僕が 君とはこんなに話すようになったけど いつが初めてだったか…覚えていない。 きっかけは些細、なんてもんじゃなかった 高校1年の時からずっと同じクラスだったのに それまで話す機会がほとんどなかった 純玲と会話が生まれたのは 高2の3学期に 彼女の親友である山本(やまもと)愛菜香(まなか)に 僕が告白してフラれたことがきっかけだった。 そして僕たちは 早くも高校生活最後の1年を迎えていた。 そんな高3の1学期、ある日のお昼休み 教室の一番後ろの席に隣合わせに座っている 純玲が僕にこう言った 「この度は大変辛い思いをされたそうで…ふふ」 「や…やっぱ知ってんだ?女子はみんな」 「でもね、あの一件で今井くんの"株" は急上昇したんやけんね」 「え?それ、どう言うこと?」 ー 女子の間ではね・・・ フラれた後でも懲りずに何度も言い寄ったり 告白を繰り返す諦めの悪い男子って ほんと、風のように噂で流れてきて 一瞬で評判悪くなるんよ、 「え?そうなんだ?」 「今井くんは、あれから愛菜香のことキッパリ 諦めて距離置いたやん?」 「うん、そうだった」 「"潔くっていいよね"、って女子の間で噂なんやけん」 驚いた 僕はこれまでの人生史上、最も勇気を出して 愛菜香に告白してフラれていまい ただただ奈落の底まで落ち込んで 愛菜香の視界から外れたつもりだったのに 女子の間ではそんな高評価を得ていたとは… 正に瓢箪から駒とはこのことだ。
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