01. 雑踏

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「え?こんなに?100円でいいんだけど」 「私も小銭持っとらんのよ、だからこれでいいよ」 「ありがとう。じゃ、パン、好きなの選んで」 「ありがと!じゃあこのチョリソーホットドッグを!」 「意外だな」 「何がよ?」 「女子って甘いのが好きなんだと思ってた」 「ダメだよー、その考えは。意外性を想定しとかなきゃ、やけん愛菜香に…」 「うぅ、それ言うかー!」 「あ、ごめんねー、ついつい…ふふふ」 「ありがとう、それじゃ…」 学食で食べようとして立ち去りかけた 僕に向かって純玲が呼び掛けた 「ねぇ、天気いいからあそこで食べない?」 純玲が指差した先に見えたのは 校庭の端っこにある 周りを蔦で覆われた小さなテーブル席 天気のいい日にはここで昼食を摂る学生もいるが 今は12月の寒空の下、誰一人いない。 ー まぁ、いいか 人目を憚る必要もない、 純玲がそう言うのなら、彼女とて 周囲の視線は気にしないと言うことだろう カップル感に浸る訳ではないが いつも教室で話す延長だと思えば… そんな思いに反して ベンチに座るなり純玲はこう言った 「ねぇ、このまま付き合っちゃわない?」 「え、えーーーっ?」 「冗談だよ」 「だってもう高校生活も終わりだよ、仮にでも 今から付き合うって無謀じゃない?」 「ソンナコトナイヨー♪」 「またそうやってはぐらかす」 「(ぼく)はそう思わない~♪」 「ポジティブなんだね」 「うぅん、その逆」 逆…って? 意味がわからなかった それでも純玲のペースに合わせて 僕は彼女の話を聞いていた。 「最後にクラスで何か盛り上がりたいね、受験終わったら」 「そうだね」 「来るでしょ?打ち上げとかしたら」 「そうだなぁ…」 「あ、愛菜香のこと、まだ気にしてんだ?」 図星だった。
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