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「え?こんなに?100円でいいんだけど」
「私も小銭持っとらんのよ、だからこれでいいよ」
「ありがとう。じゃ、パン、好きなの選んで」
「ありがと!じゃあこのチョリソーホットドッグを!」
「意外だな」
「何がよ?」
「女子って甘いのが好きなんだと思ってた」
「ダメだよー、その考えは。意外性を想定しとかなきゃ、やけん愛菜香に…」
「うぅ、それ言うかー!」
「あ、ごめんねー、ついつい…ふふふ」
「ありがとう、それじゃ…」
学食で食べようとして立ち去りかけた
僕に向かって純玲が呼び掛けた
「ねぇ、天気いいからあそこで食べない?」
純玲が指差した先に見えたのは
校庭の端っこにある
周りを蔦で覆われた小さなテーブル席
天気のいい日にはここで昼食を摂る学生もいるが
今は12月の寒空の下、誰一人いない。
ー まぁ、いいか
人目を憚る必要もない、
純玲がそう言うのなら、彼女とて
周囲の視線は気にしないと言うことだろう
カップル感に浸る訳ではないが
いつも教室で話す延長だと思えば…
そんな思いに反して
ベンチに座るなり純玲はこう言った
「ねぇ、このまま付き合っちゃわない?」
「え、えーーーっ?」
「冗談だよ」
「だってもう高校生活も終わりだよ、仮にでも
今から付き合うって無謀じゃない?」
「ソンナコトナイヨー♪」
「またそうやってはぐらかす」
「私はそう思わない~♪」
「ポジティブなんだね」
「うぅん、その逆」
逆…って?
意味がわからなかった
それでも純玲のペースに合わせて
僕は彼女の話を聞いていた。
「最後にクラスで何か盛り上がりたいね、受験終わったら」
「そうだね」
「来るでしょ?打ち上げとかしたら」
「そうだなぁ…」
「あ、愛菜香のこと、まだ気にしてんだ?」
図星だった。
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