02. 理由

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僕は元々関西の生まれだ、 中学の時、四国の中学へと転校してきた 瀬戸内地方の気候は 地理で習った地中海性気候に似て温暖で、 また人柄も穏やかだと聞いていた。 せわしない都会の人混みと喧騒に うんざりしていた僕は淡い期待を胸に 慣れない新天地へと臨んだ。 確かに前もって聞いていた通り この街の人たちは誰もが優しく すぐに土地にも馴染んだが 問題は独特な表現の方言だった。 こっちの方言がよくわからない僕は イントネーションもその意味もわからぬまま この街の訛りを真似できるほど器用ではない、 それでも数ヶ月がかりで 何とか地元の人と違和感ない程度に 方言が使えるようになっていた。 中でも愛菜香や純玲の暮らしている地区は この街でも最も独特のイントネーションだった でもその響きは何だかとても優しく感じて 次第に愛菜香に魅かれ 純玲と話すようになっていた。 愛菜香にフラれたことで 自意識過剰に周囲の視線を気にしていた僕に 気さくに話しかけてきたの純玲だった いつしか純玲は同姓の友人以上に 友人と呼べる存在になっていた だだ、その想いがそれ以上発展するかなど もちろん僕は考えてもいなかった。
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