02. 理由

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二次試験が近くなるとさすがに純玲も 慌ただしくなってきたのか ほとんど連絡は来なくなった。 ただ、僕が関西に受験に行く日を 覚えてくれていたようで " がんばって!" そんなメッセージを 会場へ向かう深夜の高速バスの中で確認した。 純玲から連絡が無いことを 特に寂しいとも思わなかった やり取りを始めたのは1ヶ月ほど前からだし 何もなければ無いで これまでの何もない日常が戻ってくるだけ そんな風に考えてはいたけど おそらく愛菜香にフラれたことで 女子との関わり そう、仲良くなってからその先に進むことへ 臆病になっているのも また否めない事実だった。 そして無事、二人とも志望校に合格した 卒業式の前日に全員登校日があるので 実に数週間ぶりに純玲と会うことになった。 「久しぶり…」  「元気にしてた?」 「合格おめでとう!」 どんな言葉で純玲と向き合えばいいんだろう …などと考える余地もなかった 「今井くん、卒業式の後、打ち上げするんだけど、来るよねー!」 顔を見るなりこんな調子で話しかけてきた純玲 「え?」 「え?…じゃなくて、行くよね?最後の集まりなんだし」 「あ、それじゃ…」 「うん、じゃ夏蓮(かれん)ちゃんに連絡入れとくから」 「え?原田さんに?」 「そ、幹事なんだって」 こうして僕は有無を言わさず 高校生活最後の クラスでの集まりに出席することになった。
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