最後の空の色

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最後の空の色

 朝日が昇った明るい空を揺らすエンジン音。  耳をふさぎたくなるような轟音。  そして、まぶしい光。  それは希望の光ではなかった。  温かいお日様の光でもなかった。  まるで地獄への道しるべ。  ひとはなぜ争うのか。  ひとはなぜ奪うのか。  父は戦争へいった。まるでめでたいことのように送り出された父は昨日も帰ってはこなかった。  弟はえいようしっちょうで死んだ。やっと1さいになったところだった。  母はとなりでなにも言わず横たわっている。  奪われた。  家族も友達も日常も。  そして空の色さえも。  帰してくれ。  返してくれ。  おかしいな。  僕はだれに向かって叫んでいるんだろう。  ダレニ奪われたノカ僕はシラナイというのに。  僕はもうきょうの空の色をオモイダセない。  かえしてくれ。  争いを知らない澄んだ空の色ヲ。僕ラに。
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