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都内から近い温泉街に到着して、男ふたり露天風呂に浸かっている。
仕事は入っていないし逆らうのもめんどくさいので、おとなしく神楽のプランに従ってぼんやり湯に入っていた。
平日の昼間、人はまばらで予約なしでも簡単に部屋が取れた。
神楽は何を注文したのか、部屋には昼なのに二人分の布団がひかれていた。
神楽が何もしてこなければ豪華な昼寝ができる。
気温に負けて涼しい室内に逃げて冷蔵庫から水を取り出して一気に飲む。
バスタオルを腰に巻いただけの貢に、神楽が音もなく近づいて後ろから抱きついてきた。
「…暑いから離れろよ」
貢の抗議に、するりと滑るように離れて神楽も水を取り出して飲んでいる。
何も着ていないその体が妙になまめかしく見えて貢は目をそらせた。
ふかふかの布団にうつぶせにダイブして貢は目を閉じた。
枕に頬をつけて眠りに誘われる。
「寝ちゃうの…?」
上にのしかかってくる神楽に安眠妨害されるのは想定していた。
「俺のこと好きなら寝かせて」
無駄だと思いつつ弱々しく懇願する。
「貢は俺のこと嫌いなのにな」
予想どおりうっとおしく絡んでくる神楽に、疲労困憊な神経が鋭くなる。
それでもうなじに神楽の舌が滑ってきた時、貢の体は敏感に反応して逃げるように体をよじった。
「嫌いな人間にこんな事されるのどう?」
耳元で囁かれて息がかかる。
「‥かぐ…ら‥‥」
「気持ちいいだろ?」
後ろから拘束してくる神楽の体を振り払おうとしたが腕力にかなわなかった。
貢を仰向けにして余裕の笑みで見下ろしてくる神楽を、組み敷かれたまま睨みつけるしか出来ない。
「‥んっ…‥ぅ‥」
股の間を擦るようにバスタオルを取り上げられて貢はかすかに声を漏らした。
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