生まれ変わってみる意味

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一心不乱に走り続けて、ようやっと着いた大学でも俺の動揺は止まらない。 まさか、木村先輩が俺の尻を揉みしだいていたとは。 しかもトイレにまで入って来て、あわよくば何をしようとしていたんだ。 脳内にどっかで流行っていたフレーズが流れていく。 『やめて! 私に~(割愛) エロ同人みたいに!』 …いや、被害妄想が過ぎる? でもでも、あの先輩の眼はガチだった。恐怖しか生まれなかったっ!! やばい、本当に神様の影響か…!? え、こんなに急に? 俺の心の準備とか、心構えとか全く無い訳?神様なら、そこら辺までケアしてよぉ!! ぐずぐずとべそを搔きながら講義を受ける俺に他の生徒からの視線が痛いが、こちとらそれどころじゃない。 色んなモノが危機に晒されている。 特に尻、だろう。 何だよ、BLの主人公なら攻めでも良かったんじゃねーの? 何で俺が受ける側な訳? …あれ?もしかしてそのルートも有り?もしかして木村先輩って誘い受けとかだった? 授業何か全く耳に入らず、そんな事を考えていれば、 《いや、お前自分の過大題評価すなや。テク無し、調教する喜びを与える童貞臭高め、おぼこいのに魔性って設定があるんやぞ》 ――は? 何処からともなく声が聞こえた気がする。 きょろきょろと周りを見渡すも、眼の合った他の生徒達から光の速さで逸らされるだけ。 (……は、はは…まさ、かー…ねぇ…) そんな癖の強い…、 「四ツ谷?何お前、すっごい顔が悪くなってんぞ」 「……せめて、色を付けろ、色」 と、言うか顔色であってくれ。 何とか午前中の授業を終わらせた。 こんな状況でも腹は減る為、学食で激安うどんを啜っていると、何が可笑しいのか、ニヤニヤと笑みを見せながら目の前に座って来たのは今井だ。 大学に入ってからの友人だが、最初の関係は友達の友達のイケメン枠と言う薄いもので、ここ半年くらいから一緒に飯を食う位には近くなってきていた。 「…なぁ」 「何だよ」 今井の本日のランチ、親子丼。いただきます、と早速箸をつける様子を見ながら、俺は恐る恐る口を開く。 「前世、とか、ってお前覚えてる?」 「は?何お前顔だけじゃなくて、頭もどうかしたのかよ」 「……もう、いい」 顔の良い奴って本当昔から嫌いだ、こんちくしょー。 まぁでも矢張り神様の存在や、この世界、前世の事なんて信用はしてもらえないだろう。俺だっていきなり友人がこんな事相談してきたら、流石に首を傾げる程度じゃ終わらない気がする。 「…あ、お前今日誕生日?」 ふいに今井のそんな声にうどんの汁を飲み干した俺はげっぷと共に小さく頷く。 「二十歳を迎えました…」 「へぇ、そっか」 おめでとうさん、なんて笑う今井にどうもーと頭を下げるが、ふと (あれ…俺、誕生日とか、教えたっけ…?) まじまじと思わず見詰めてしまう。 相変わらず糸目で塩顔。でも、人懐っこい雰囲気と陽気な性格で男女共によく慕われている、この、今井。 親子丼を食べ終えた今井と、再び学内へと戻るも何だか違和感が抜けない。 疑心暗鬼になってる、のかもしれない。 幾らこの世界がBLの世界であっても、誰でも彼でもやっぱ『そう言う眼』で見ちゃダメだ、うん、絶た、 「四ツ谷ぁー」 「あ?な、なに?」 「ずーっと、不思議に思ってたんだ、俺」 急に話を始めたと思ったら、俺の手が掴まれた。 「…今井?」 「俺の誕生日、二十歳を迎えたのって半年前なんだけどさ」 「…へ、ぇ」 何だ、すげードキドキする。 当たり前だが、きゅん♡の方では無い。 不穏、な方、だ。 だって、俺引っ張られてる。掴まれた手を今井に引っ張らて、それもかなりの力で。 「い、まい?え、何処行くんだよ、教室こっち…」 連れて行かれた先は資料倉庫。あまり使ってないと言うそこは中から鍵が出来る仕様で、入るなり今井の手によりガチャンと鍵が下ろされた。 ……何で? こんな誇り臭い所で二人きり。あー、あれかな?人に聞かれたくない事、あ、相談事か。はいはい、恋愛云々は残念ながら乗れそうにも無いけど、他の事ならぁー… なんて、 「今井っ!!しっかりぃぃぃしろぉぉ…っ、ひぃ、あ、」 「あー…すげぇ、俺今四谷のちんこ触ってるー…マジですげぇ…!」 本当だねぇ!めちゃ触ってるって言うか、握ってるねぇ!! しかも、 「やめ…っ、しごく、なぁ…!!」 「四谷のちんこ可愛いな、俺好きだよ。色も形もサイズも」 誰もお前の感想なんぞ求めてねーんだよっ、べらべら喋ってんなよぉ!! 「本当…、長かったよなぁ…ずっと…高校の時から、ずっと…」 俺のから流れてくる先走ってるあれを擦り込むようにぐりぐりと撫でつける今井は何やらぶつぶつと言っている。高校?何言ってんだよ、お前と知り合ったの大学入ってからでしょ、いや、いい、そこはいい。つか、待って、独り言あとにしろよっ 「いまいぃい…っ!馬鹿っ、しっかりしろっ、合コン王子とか自称、して、たろっ、ん…っ」 ケツといい、ちんこといい。 朝から災難だろ、ナニコレ。 これがBLでの主人公の定めな訳?でも、何で今井なんだよぉぉ、コイツ全然そんな素振りみせなかったじゃんっ!! 「…可愛い、ずっと俺一人が…お前の、」 「何言ってるか、わからんんんーッ」 べろりと頬を舐められ、限界がそこまでやって来る。 いつも通りスキップしてきてやがる。 「ひっ、ん」 まるっとした敏感になっている先端に爪を立てられ、内股からぞぞぞぞっと痺れがダッシュしてきた。 スキップからのダッシュ、息継ぎがうまく出来ない。 「イ、くから、」 「やべー…四谷の射精見るとか最高、顔も見たいけど、ちんこも見てたい…」 「も、まじで…、」 コイツ嫌だ。 設定その3:ヤンデレ、変態じみた相手が多い事に対し、重く受け止めない。
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