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仮眠室があるのは知っていた。
店の奥に由鷹さんが朝早い時とか、店が遅くなって帰るのが面倒な時に使用していると教えて貰った部屋。
一度だけ、由鷹さんに頼まれて忘れ物を取りに入った事のある部屋。
ベージュ色の部屋にぽつんとあるベッド。
簡易的な造りかと思っていたけれど、意外としっかりとしたダブルのそれに何となく一人で寝るのではないんだろうなーと気恥ずかしさを持っていたが。
まさか、こんな形でまたお邪魔する事になるとは思ってもいなかった。
「要、もっと…くっついて、腕俺の首に掛けて」
「う、っ、あああ…っ、ゆ、たかさ、ん、待ってっ、ああああ」
何で?
何でこんな事になった訳?
なんで、
俺の尻に…
「可愛いー、すごく好きだよ」
由鷹さんのちんこが入ってるんだよ…!!!
しかもローションなくてもぐっちょっぐっちょになってる訳?
そんでもって…
「あー…あ、あああんっ、か、は、…っ」
息が出来ないくらいに気持ちいい…っ!
由鷹さんのちんこが出たり入ったりしているのがよく分かる。
変なところで頭が冷静だ。
なのに、身体は快感しか拾ってくれず、それがダイレクトに脳に響き、その冷静な部分まで侵食しようとしてくる。
「由、鷹さ、ん、むっ、…りぃ…っ!いくて、いく、しっ…っ!」
「うん、いいよ。思う存分出しなよ」
ぐいっと後頭部を引っ張られ、顔を上げた先に見上げた穏やかないつもの由鷹さんではなく、どろりとした濃い色を帯びた眼で煌々とした表情のそれ。
―――どっかで、見た事が、あるような、
でも、そんな思考も思いっきり下から突き上げられて忘れてしまった。
「あん♡ああああー♡す、っご…♡きもち、いい、すき、ぃ♡」
「好き?ここ、かな…っ、あ、締まるねぇ、ここが好きなんだ、お前」
「うん、好きい♡」
ぐりぃっと抓られた乳首も気持ちが良い。
もう阿保みたいに喘いで、媚びて。
由鷹さんが動いてくれない時は自分からへこへこと腰を降って、口元を舐めて強請って。
すごく気持ち良い所にごつごつと当ててくれる由鷹さんのちんこと同時に、こぽっと俺のちんこも精子を垂れ流す。
視覚的にも卑猥で、どんな感情なのか、涙も溢れて来た。
服なんか、どこ行ったのか分からんし、シーツぐちゃぐちゃの、ぐちょぐちょで本当に何をしてるんだろうと思うけれど、
「っとにさ…お前覚えてんだろ、生まれる前の事…だって二十歳だもんな…」
「あ、あっ…へ?」
「何か二十歳になると思い出すみてーで…、『俺等』結構待ってたんだから、有り難く思えよ」
「、え、あぅ、ん♡ま、て、そこ、はいらな、」
――――お前が逃げ出したあの日から、
主人公たるもの、割と強靭な精神と肉体を兼ねそろえている物でーー。
「はぁ?あんた何先に手ぇ出してんだよっ」
「まじかー…先に取られた訳か…」
「うるさいよ、要が起きる」
まぁー…、
(ーーーはい、起きて、ますが…)
こちらを気遣う訳でも無い声で起きるなと言う方が無理じゃねーか?
指一本動かすのも億劫な程の気だるさ。特に下半身が酷い。
自分の身体じゃないみたいで、心なしか息遣いもひゅーって掠れている気がする。
なのに、頭だけはやたらと冴えていて耳を傾け、集中してみる。
聞いた事のある声、3人の声、だ。
「でも、まじふざけんなよって感じはするよね。こちとら前から…『小学生』の頃から気に掛けてたっつーのに」
「いやいや、木村先輩、こっちだって『高校』からなんで」
「別にこう言うのは早いもの勝ちって訳じゃないよ」
「だからって、あんたはアイツが『就職』してからの付き合いだったんだろっ、ちっとは先人者に遠慮っつーもんしろよ」
――今井と、木村先輩、由鷹、さん…
ーーーへ?何で?
ここはまだ店の仮眠室だ。
今一体自分がどうなっているのかも分からんけど、ここにこの3人が居るのも、もっと分からん。
プチパニックになっている俺に気付かない3人は話を進めていく。
「でも、まぁ、これで要は俺のって事でいいかな?」
「良い訳ねぇだろうがっ!ふざけんなっ!!」
「俺らにだって、平等に権利はある筈だからね」
「平等ねぇー…。でも要がどうするかなぁ。昔から騙されやすい奴だったけど、一途だったし、最初の相手の俺を選ぶと思うよ」
一途?選ぶ?
ーーーいや、本当、まじでどういう事…?
分からん、さっぱり分からない。
だけど、ここで起きて真相を問い詰める勇気も無い。
本能的なものが止めている、そんなイメージ。
突くな、やめとけ、と。
でも、
「本当…二十歳になって、前世の記憶が蘇るとか、神様の言う通りだったな」
ぽつりと聞こえた木村先輩の声に、はっと俺の眼が見開く。
ーーー前世?
か、みさま、
『はーい、こんにちはぁ』
『新しい人生を差し上げま〜す』
あの阿呆みたいな能天気な声が脳内に木霊す。
待って、え、どう言う事。
何で神様をこの3人が知ってる訳?
「さて、じゃ、取り敢えず要君が起きるのを待ってみる?」
「当たり前だろ、しかも次、俺な。四谷のちんこの感触消えねーし」
「それを言うなら俺だって要の尻まだ触り足りて無いけど?」
はいはい、いや、待って。
このまま、このままで俺が眼を覚ましたら、どうなんだ?
俺の主人公設定、世界観設定…
どうなってるんだ?
えー…待ってー、もしかして…もしかしてだけど、神様ってアイツ等の前にも現れてた訳?
それで色々とアイツ等には教えといて神様、俺には放置プレイなの?
何その差別。
顔?顔な訳?
せめて、ほんの少しの答え合わせくらいあったって、
「あれ、もしかして四谷起きてる…?」
気配で感じ取られたのか、そんな今井の声にビクッと揺れてしまった俺の肩。
「あぁ…恥ずかしがってるんじゃない?」
「すごいね、首のとこ、痕だらけだ…」
じりっと近づいてくる気配に、どっくんどっくんと煩い位に心臓が鳴る。
おいおい、神様とやら。
生まれ変わってたはいいけど、本当にこれ意味ある訳―――?
ピッロリーン★
【二十歳の誕生日おめでとうございまーすっ★私からの新しい人生如何でしょうかっ。取り合えず私の好きな設定を詰め込んでみましたが、足りない物があったらごめんなさいねぇ。そこは性癖として自分で開拓していくか、開発してもらうかで対応下さいね★】
【え、設定ですかー。そんなのもう分かってるんでしょー。あの人達も可哀そうだったんですー。貴方が死んだ後、それぞれが絵に書いた様な転落具合で】
【私神様なんでぇ、そう言う人達も見過ごせなくてぇー。それに利用出来る者は利用しなきゃーリサイクル?地球にも人にも優しいんですっ★】
【は?生まれ変わる意味ぃ?何言ってるんですかぁー】
【―――そんなもの、ありませんよ。
敢えて言うとしたら生まれ変わってみる意味とか、そんなもの考えなくてもいいくらいにBLの世界での主人公、楽しんで頂ければ♡まぁー自論ですが、】
こんな世界オチなんて必要無いんですから。
終
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