夏の夜、カナシバリ

エピローグ

どうだったかな？
ムッシュの語る、よいち氏の昔話は。

私の語り口では、怖くもなんとも、なかったのではないか？

昔から、紳士の怪談はちっとも怖くない、と言われ続けているのだ。

麝香(じゃこう)のように漂い出る、品の良さが、怖さを打ち消してしまうのか。

悩ましいことである。

そういえば、諸君。

幽霊に合わないですむ方法を聞いたので、お教えしよう。

思いっきりエロか、思いっきり下らないギャグ。

夜道を歩くときに、これらを常に頭に浮かべておけば、幽霊には会わないそうだ。

最後にシメをして、さよならの代わりにしたいと思う。

会社に戻った後のこと。

よいち氏は先輩から、見た？　と、聞かれている。

研修所の部屋で自殺した社員がいた、という噂を知った。

それでは、チャオ！