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「初音さんはゆきずりとか気まぐれとか、そういうつもりだった?」
瞳の中に寂しさを湛えて。
「自分に夢中になってるガキをただ美味しく」
「ち、違……!」
「ですよね。そんな感じじゃなかったし」
そんな感じってドンナカンジ?
ふんわりと照れたように笑う七瀬と昨夜のコイツが、フラッシュバックして重なった。
「早く追い付いて欲しいって言ったけど、ゆっくりでいいです」
(アレ、本気か!?)
「今夜はあんまり上手にしないで。もたないから。……ガオ」
両手を丸めて威嚇してくる可愛い猛獣。
「あ、でも僕、去る者は追わない主義ですよ。嫌になったらいつでも追い出して」
なんで俺はこんなガキに振り回されてる?
「じゃあ自分のアパートに荷物取りに行ってきます。それを言いに来たんだった」
軽い足取りで出て行く七瀬、中途半端な状態で風呂場に残された俺。
「言うだけなら脱いで入ってくんなよ……」
その日から七瀬はこの家に住み着き、俺はアイツが留守だと部屋の隅で膝を抱えるようになってしまった。
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