猫又坂🐱ミッドナイト

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「そんな怖い顔のくせに、危うい笑い方しないでよ」 「危うい……?」 「そんな、今にも泣き顔に変わりそうな笑い方……!」      肩を掴まれた瞬間、いきなり唇を奪われた。 「……!」  跳ね除ける力が入らないのは酒のせいか、それとも溶けるような唇の甘さに飲み込まれたか。 「その笑い方は癖ですか? 見た目は凍り付くようなカッコ良さなのに中身はヘタレっぽいって策略ですか? なんかもう隙だらけで僕……!」    イロイロ言われてるけど頭が追い付かない。 「こういう事、したくなります……」  二回目のキスはもっとずっと熱くて。圧し掛かって来る七瀬の背中を俺は無意識に引き寄せていた。 「こういう事って、……こういうコトか」 「んぁ……ッ……!」  気がつけば互いに息を乱し、七瀬が自分からシャツを脱ぎ捨てる。 「初音……さん」  征服を目論む舌、容赦なく高みへ追い込む指先。 「早く、僕の気持ちに追いついて……!」  猫又坂の夜が更けていく。 (太一……、……じゃあな)  泡沫(うたかた)の夢に身を任せると、淫らな猫がみゃーっと鳴いた。
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