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※※※
カーテンの隙間から朝日がベッドに差し込んでくる。その眩しさに俺は目を覚ました。
(……夢? いや)
寝乱れたベッドは昨夜の事が夢ではない証。けれどそこに七瀬の姿はない。
(ゆきずり……か)
記憶は断片的だが、ソファから寝室のベッドに雪崩れ込んでなりふり構わず抱き合った。お互いの意識がブッ飛ぶまで。
〝僕の気持ちに追いついて”
耳に残るそんな台詞も、今ならただの気まぐれだと理解できる。
(バカか。なに真に受けてんだよ)
たった一夜の事なのに、いつものベッドが今朝はやけに広く見えた。
──のだが。
「あ、起きてる。おはようございます」
開けっ放しだった寝室のドアの向こうを、腰にタオルを巻いたイケメンが通り過ぎていく。
「……な!?」
慌てて下だけ穿いてリビングに飛び込むと、ソファで七瀬が濡れた髪を拭いていた。
細いのにしっかり筋肉の乗った背中から肩、腕の稜線が艶めかしい。
「すみません、勝手にシャワーお借りしました。このタオルも」
「そんなのはいい……けど」
てっきり帰ったと思っていたのに。
動揺を押し隠し、俺は何くわぬ顔でキッチンの冷蔵庫に向かった。喉がカラカラだ。
「太一くんと付き合ってたんですか?」
いきなりの爆弾投下に──絶句。
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