Not Friends

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 N-FriendsというSNSアプリにはまってる。Not Friendsの略らしい。いいね、「友達だろ?」みたいな馴れ馴れしさを感じない。  登録した情報や興味を元に、自動的にトークルームを設定してくれて無作為に選ばれた最大4人で20分間話すことができる。4人という人数がいい。よっぽど人気がないテーマじゃない限り、5人くらいは集まるから参加者の思惑なんて無視した形で問答無用に部屋割りがされる。常に同じメンバーと話してたって何の発展性もないからね。  話題が不足するときはアプリが勝手に議題をくれるからやりやすいし、自分に合わないなと思ったらチェンジすれば違うトークルームに招待してくれる。 「ところでさぁ、ミカちゃんはどこに住んでんの?」  ユウスケという名前の男が突然、トークテーマに全く関係のないことを話し出した。ミカと、もう一人の女の子の目が泳ぐ。多分、画面の右端にあるクリックボタンを押したんだろう。残りは僕。僕もその該当ボタンを押した途端、ぷつりとユウスケが画面から消える。そのあと、ユウスケがいた場所に「この人をトーク不可相手にしますか?」と表示され、迷うことなく「はい」を押す。 「ありがとう」  ミカがため息をつく。 「どういたしまして」  トークルームの趣旨に合わないメンバーがいた場合、過半数以上の合意があればその人を強制退出させられることもこのアプリの魅力だ。二人きりの場合はさっさと自分が退出して、相手を「不可」にすれば問題ない。 「じゃあ、続き話す?」 「うん、文系の場合ってさ……」  わずらわしいことにとらわれず、興味のあることだけに集中して話しができるなんて最高じゃないか。  このアプリと出会って気づいた。  正直、リアルに人とつながる意味なんてないんだなって。  
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