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少年の夢
「教会の子供は親に捨てられた子供だって兄ちゃんが言ってた!」
5歳の僕はその言葉の意味を知っていた。
「捨てられてないもん! 迎えに来るって言ってたもん!」
同い年のマナは1年前に教会へ来た。
当時の事は今でもはっきり覚えている。
沢山の涙を流しながら、シスターに抱っこされていた。
「ママ〜! ママ〜! 行かないで。マナも連れてってよ!」
「いい子にしてれば迎えに来るからね」
泣き叫ぶマナを見てお母さんは最後にそう言っていた。
マナは教会に来てから半年まで、夜になると親のことを思い出し泣いていた。
それを見るのがとても辛かったのを覚えている。
「いいよ、マナ。戻ろう?」
涙を流しながら僕の手を力強く握る。
僕はどこで生まれたのかも、お母さんの声も、お父さんの姿も覚えていない。
ユマという人が僕の事を預けに来たらしい。
手紙には名前と生年月日しか書いていなかった。
「マナ、心配しなくても大丈夫だよ。僕はずっと味方だから」
「うん!」
公園から教会へ戻ると、シスターと12歳ぐらいの子供達が夜ご飯の準備をしていた。
「マナ、ユウ、おかえりなさい」
「ただいま、シスター」
「ただいま……」
マナはさっきの事を気にしているのか、シスターの目を見て挨拶が出来なかったみたい。
夜ご飯を食べた後シスターに呼ばれ、今日の出来事を報告すると、「神様は皆さんのことを見ています」と言われた。
僕ら教会の子供たちは、親が居なくても神様が毎日見て下さっている。
だから大丈夫。そんな意味が込められていたのかもしれない
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