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二日目の夜に見たのは悪夢だった。
昨晩寝つかれなかったせいもあり、布団に入るや佐奈の意識は泥水のような眠りに沈んでいく。
この泥――周が掘った穴と同じ色だ。その証拠に、目の前にはダイヤの入った袋が落ちている。一歩先には銃弾のつまった缶が。
その缶の先には誰かが横たわっている。
驚いたように目を見開き、首から血を流して。
――誰かの死体。
気配を感じて振り返ると、赤い血にまみれた包丁を持ってたたずんでいるのは、まぎれもない姉だった。
(綾姉、どうして)
馬鹿な周。余計なことを。
あの穴だけは絶対に……掘り返しちゃいけなかったのに。
佐奈はわななく身体を無理矢理抱きしめ、目をつぶる。
ダイヤモンドに銃弾。奇妙な二つの取り合わせ。
そうだったのか。
うちの庭にはその二つの持ち主の、死体が埋まっているんだ。
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