庭舟

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今年の秋は朝晩よく冷えこんで、我が家のドウダンツツジとモミジも見事な紅葉をみせた。その後、日が庭にあたらなくなると落葉樹はいっせいに葉を落とし始める。 その日、ゴミ袋数枚分に及ぶ落ち葉掃きをかってでたのは綾姉と佐奈だった。 「佐奈、亮くんは元気?」 「んー、ぼちぼち」 佐奈が返すと綾姉はコスモスが揺れるように微笑して、 「つきあってるのに、つれない言い方ね」 「まあね」 佐奈が亮と一緒に帰るようになったのは、佐奈がバスケ部の新米マネージャーで、三年の主将からケガした亮を手伝ってやれと言われたからで。 好きかもしれない、と思ったのは、亮の物のとらえ方ががどこか周に似ていたからだった。不思議なものだ。昔は弟なんて、ただうるさいだけだったはずなのに。 「そっかあ。高校入って早々、彼氏なんてって思ったけど、その様子なら心配なさそうね」 そう言って綾姉はまた笑う。 「えー、どういう意味よ」 「仲良きことは美しきかなー、って意味」 姉は今、東京の大学で法律を学んでいる。長く艶がかった髪に色白が引き立つ化粧。すっかり女の人になってしまったなと見惚れていたら、その横顔がしかめっ面になった。
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