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「姉ちゃんが、もっ、燃えないゴミに出す!」
「やだっ、なんで捨てちゃうんだよ」
頬を膨らませる弟に、たたみかけるように声を張り上げる。
「もうお終い! 早く家に上がりなさい!」
威圧的な態度を崩さないでいると、周はしぶしぶシャベルを放り投げて縁台に上がった。
「石けんで、ちゃんと手を指の間も洗うんだよっ」
「はーい」
未練がましくこっちを振り返るな。さっさと中に入れったら。
ようやく周が行ってしまうと、佐奈は胸を押さえながら缶の中に目を落とした。
見まちがい、じゃない。
缶はずっしり重く、中にはクレヨンみたいな形の……鈍色に光る、均一な金属片が同じ方向をむいて並んでいる。
「銃弾……?」
ふいに両腿がしびれて力が抜けた。佐奈は地面の上にへたりこんだ。
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