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目が覚めると。満天の星空の下。小高い丘の上の木に背を預けて座っている。
いつも以上に綺麗に見える星空がどことなく終わりを告げているように感じられる。残り、五分。
リーブスは駆けだした。
丘を降りて、寝静まった街を駆け。彼の家に向かった。
セルシールは家の前に生まれたての小動物のように腰を落として歩いていた。驚かせないように大きく足音を上げで近づく。
「もしかして、丘の上に来ようとしていたのか?」
「……リーブスか!」
嬉しそうにしながら、セルシールは声を上げた。
「まぁ、このまま部屋にいるわけにもいかないからな。こうやって人のいない夜に外を歩く練習をしないといけない。丁度、終末が近づいていたからな。あの丘までの道は覚えているから、ひとりで行けると思ったのだが。この通り家から出るのでやっとだ」
セルシールはは苦笑しながら肩を上げた。
リーブスは、その姿を見て涙が出た。
セルシールはまだ終わっていなかった。それはすなわち、自分も終わることは無いという希望でもあった。
リーブスはセルシールをゆっくりと抱きしめた。
「俺もすぐにお前と同じ世界に行く。だが、そこで終わりではない」
リーブスが目覚めてか五分が経過した。
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