アンチモラル

4/6
85人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
 抱えた脚を後ろの本棚に引っかけるように乗せた。驚いた私の事など気にする様子もなく、ふとももを撫で回している。そうしながら、口内を舌でかき回す。  ふとももにある手が、脚の付け根への方と移動し、ためらう事なく下着の中へと入ってきた。 「びっちゃびちゃ……」  恥ずかしい言葉を言われても、脚を閉じようとは思わなかった。 「自分がどうなってるのか分かってますか?」  小刻みに、縦に首を振る。 「それじゃあ、俺が今触ってる所、どこですか?」  彼の指が、一番感じる箇所を急速に弄り始めた。  身体が大きく痙攣する。 「答えて下さい」  身悶える私を見下ろしながら、口角をぐっと上げた。  知ってるくせに……  思うけれど、答えないと言う選択肢はなかった。だから、彼を引き寄せて、その答えを耳元で囁いた。すると彼は、予想通りの満足気な表情を見せた。  それからしばらくそこをずっと弄られ続け、快感に自らも腰を振っていた。  もう少し、もう少し……  喘ぎながら、目の前の絶頂に手を伸ばす。そして、ほとんどそれに手が届きかけた途端、彼が動きを止めた。 「相変わらず厭らしい身体ですね」  眠くなりそうなほどゆっくりとした口調だった。私からすれば、今はそんな事どうだっていい。 「簡単に、気持ち良くなんてさせませんよ」  言うなり私から手を離し、ジーンズのベルトを外した。ジッパーを全て下ろし、前を広げる。下着が盛り上がり、嫌でも興奮している事が分かる。  彼は、私を見つめながら下着をずらし、上を向いた彼自身を出した。  思わず釘付けになる。  すごい……  大きなそれを目にし、身体の疼きがさらに強くなる。  頬に手を添え、再び身体を寄せてきた。 「我慢できますか?」  その一言で、今までとは違う状況なのだと理解した。  私の脚の付け根辺りを、指の先で引っかくようにして動かしている。  でも、でも、でも……  土壇場で、頭と身体が別々の感情を持ち始めた。  欲しい、欲しい、欲しい……  簡単なはずなのに、理性がそうさせてはくれない。と言うか、ここへきて、理性がまだ残っていた事に自分でも驚いた。  だって、だって、だって……  この葛藤に、何の意味もない事くらい分かっている。それでも、間違いなく迷いはあった。  けれど、まだ知らない快感に、私の理性は負けた。  彼は、返事を促すように、下にある手をぐっしょりと濡れているそこへと移動させた。 「……我慢、できますか?」  余裕がないのか、興奮からなのか、少し息が上がっている。  私は、首を横に振った。 「俺も、もう無理です」  クロッチ部分を横にずらされ身震いした。冷たい外気に触れたからではなく、これから起こるであろう事を想像したからだ。  彼は自分自身を手に取ると、濡れているそこへと押し当てた。  途端、館内が一斉に真っ暗になった。驚いて、お互い動きが止まる。  停電だと気付くのに、ゆっくりと一呼吸分ほどはかかった。  外では、雷は弱まる事なく勢力を増していたのだろう。  窓の外に目をやるけれど、だからと言って何が分かる訳でもない。  すぐに非常灯が点いたものの、それはあまりにもぼんやりとしていた。 「この方が雰囲気いいですね」  動じる事なくそう囁くと、押し当てていたそれをその場でゆるゆると動かし始めた。前後、左右、そして円を描くように、とろりと溢れ出したそれを、彼自身に絡ませるように。 「……入れますよ」  彼の顔が、強張っている。  そして、彼自身が私の身を割った瞬間、簡単に絶頂に達してしまった。身体が崩れ落ちないよう、必死にしがみつく。それでも彼は、奥まで腰を進めようとしている。 「待って……」  かすれる声で訴える。  隙間なく繋がったまま、彼の腰がぴたりと止まった。 「ちょっと、待って……」  独り言のように繰り返す。  童顔のくせにと、今まで何度も思ってきた。恋人(カレ)よりも、今まで付き合ってきた男性の誰よりも、今、私の中で興奮している彼自身は堂々としている。 「大丈夫ですか?」  検討違いな顔を私に向けた。 「……あの、少し、痛くて」 「え?ああ、えっと……」  理解すると、逸らした目を分かりやすく泳がせた。  恥じらう顔を、可愛らしいと思う余裕はあった。 「でも、この状態のまま動くなって言うのは、無理ですから」  言い終わるなり腰を引くと、ゆっくりと動かし始めた。そして、その動きは次第に激しさを増していく。  痛みは、快感へとすぐに変わった。  大きさもさる事ながら、彼の腰使いも絶妙で、私の気持ちいい箇所が的確に分かっているようだった。  再び興奮が弾けそうになる。  そんな私に気付いたのか、片方だけ口角を上げると、わざと角度をずらした。それだけで、すぐそこにあった絶頂から、簡単に遠退いてしまった。 「……意地悪」  揺さぶられながら、こっそりとそう言った。 「まだまだこれからですよ」  その言葉に、繋がっている部分が反応する。  相変わらず館内は薄暗いままだった。  彼の顔にできる影が、童顔を男らしく見せている。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!