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サキの背に、芳之の爪が食い込む。ギターを弾く彼の爪はいつもきちんと切り揃えられていて、サキの皮膚に傷をつけることはない。
腰の上に跨っている彼を揺さぶってやると、声を上げて仰け反る。その首筋はとても綺麗なラインだ。
その線に沿って舌を這わせながら更に腰を動かすと、そのリズムと一緒に彼の声が溢れ出てくる。
「あっ、春臣ぃ…っ、ああっ…んっ、イく、イッちゃう…っ!」
一際大きな声を上げると、彼はぐったりとサキにもたれ掛かる。頂点に達してしまったようだ。密着している腹がぬるりと滑る。
そのまま続けて突き上げると、彼は首を振りながらサキにしがみつく。その赤い髪を抱き寄せて動き続ける。
彼は再び声をあげ、激しく首を振る。
「は、る…ああっ…!! そんな、また、またイっちゃ……っ!」
声にならない掠れた悲鳴と、ぎゅっとしまる彼の内部に、高まる快感が限界を迎える。
「はぁ…。ん…もう……」
芳之のその声が可愛らしい。
彼を抱き抱えたまま、耳元に口付けてやる。
「大好き…」
彼の声は、泣き声のように湿っている。
その言葉に何と答えてやれば良いのか。答えが出ないまま、3年が過ぎていた。
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