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 彼はサキを信用しきっていて、過去にオファーがあったもののリピートはざっとしか確認しない。 「このレコーディングも受けるぞ?」 「うん、マヤちゃんのレコーディングは前もやってる」 「そうか。スケジュールは確認してあるから大丈夫だ。内容のやり取りは自分でやれよ」 「はーい、了解!」  彼は笑って返事をし、またスマホに目を落とす。  メールに返信を済ませて、芳之を見る。まだ熱心に画面を触っている。 「芳之、コーヒー飲むか?」 「ミルクと砂糖増量ね」 「はいはい」  立って行って、オフィスの隅に置いてあるコーヒーマシンで自分の分のブラックと、芳之の分の甘ったるいコーヒーをいれる。  それを持って戻り、芳之に出してやる。 「ありがとー」  芳之はそれを手に取ってすぐ口をつける。 「あっつい! 熱いよって言ってよー」 「毎回熱いぞって言わなきゃわからんのか、お前は」 「もしかしたら、今日は冷めてるかもしれないじゃん」 「一度でも冷めてたことがあったか?」 「あるよ。アイスコーヒーの時」 「アイスコーヒーは冷めてるとは言わない」
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