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ゆっくり食事を終えて事務所に戻ると間もなく、タカミとレイジがやって来た。
集まったところで、場所を会議室に移す。
明日と来週のライブの最終打ち合わせと、新作アルバムについてのミーティングだ。
一昨日ゲネプロは済ませているので、ライブについては確認のみだ。明日の品川駅での待ち合わせ時間や、翌日帰途の新幹線についても確認する。
タカミもレイジも名古屋が出身地だ。二人とも実家に宿泊するということなので、ホテルは手配していない。サキと芳之だけがホテルをとっている。
「そういや芳之は出身どこなんだ? 東京か?」
レイジがふとそんなことを聞く。
「…僕も名古屋だよ」
「何だ、早く言えよ。知らなかったじゃねぇか。どこだよ。俺は名東区」
同郷だと知ったのが嬉しかったのか、レイジは笑顔で身を乗り出す。
「俺は瑞穂区」
タカミも出身地を口にして、芳之の返答を待つ。
「僕は…中村区、かな」
微かに笑い、芳之は返す。名古屋の出身であることだけは聞いていたが、細かい地名を聞いてもわからないので、それを聞くのはサキも初めてだ。
「中村区か。どっち側だ」
「西。多分」
「多分?」
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