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 明日はライブの為に、名古屋に出向くことになっている。  芳之は新幹線に乗ることを楽しみにしていて、数日前から騒いでいた。おやつは何にしようか、駅弁は食べるのか、車内販売のアイスが食べたい、と。サキが知っているだけでも数えきれない程に新幹線には乗っているのに、よくもそんなにワクワクできるものだ、と呆れるしかない。  端的に言って、ギターを弾いていない時の芳之は、幼児だ。 「新幹線の中で騒ぐなよ」  毎回、窓際が良いだの、富士山が見えるだの見えないだの、テンションを上げて喋り続け、隣席の疲れたサラリーマンに睨まれるのが恒例になりつつある。  そろそろそれは勘弁して欲しい。一人で乗っている時はどうしているのだろうか。前日の今日からこの調子では、今回も周囲の顰蹙を買うのは目に見えている。 「えーっ、騒いでないよ、僕」 「うるさいんだ、間違いなく」 「そうかなぁ」  彼は首を傾げながら、明日のセットリストと進行表を見ている。今からこの事務所の会議室でセルスクェアのミーティングだ。
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