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ヘヴィメタル色の強いこのアルバムの最後に収められた、DokkenのDream Warriors。そのヴォーカルはサキだ。プロデュースを担当したサキに、芳之がこうでなければ意味がないと主張し続け、実現したコラボ曲。
あまりヘヴィメタルは歌って来なかったサキだが、芳之はヴォーカル録りをディレクションしながら満足した様子だった。これが聴きたかった、と。
「もっと自分を売り込め。ほら、今ツイートしておけよ。忘れる前に」
「はーい」
芳之は素直にポケットからスマホを取り出して、操作し始める。これで暫くは大人しいだろう。
今日中に済ませてしまわなければならない書類をこなし、担当のスタッフに渡しに行く。今年中に始める予定の音楽配信事業に関連した書類だ。サキが社長を務める音楽事務所、キールクリエイテッドジャパンの子会社として立ち上げる。軌道に乗れば、独立させる予定だ。その為の手続きや企画などで、スケジュールは詰まり気味だ。その影響で今年はライブの本数も少なめになっている。
デスクに戻ろうとすると、他のスタッフに呼び止められる。
「芳之さんにオファーがあったので、メール送りましたけど、見て頂けましたか?」
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