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「すまん、まだだ。今見る」  受け取ってデスクに戻り、パソコンのメーラーを開く。  一番上にそのメールは表示されていたので、すぐにそれとわかった。メールを開いて確認する。  芳之が以前から参加しているヴォーカリストのバックバンドの仕事と、そのレコーディング、講師を務める専門学校の年度後半の授業の予定。スケジュールを確認し、それぞれを照らし合わせ、セルスクェアの決まっているスケジュールも合わせてバッティングしていないかをチェックする。  芳之のマネジメントは専任スタッフをつけようと考えていたが、そう伝えると芳之が拗ねたので、結局サキ自身がメインでやっている。芳之一人のイベントなどにもついていく羽目になり、ファンから隠れなければならない場面も多々ある。 「芳之、オファー来てるから確認してくれ」 「今忙しいー」  芳之はスマホから目を離さずにそう返す。 「忙しいのはこっちだ。これだけさっさと見ろ」 「はーい。どれ?」  芳之は椅子を転がしてサキの隣にぴったりくっつくと、パソコンの画面を覗き込む。 「これだ。ちゃんと読めよ」 「ああ、うん。サキさんが大丈夫って言うなら大丈夫」
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