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遠く離れた場所にいる百華に、俺は情けない声を出す。
「やだ。パパは、ずっとママをぎゅっしてればいいの」
唐突にそんな事を言われ、俺と桃ちゃんは互いに頬を赤らめる。
確かに、普段から桃ちゃんとのスキンシップは多いけれど、まさか百華に本当はずっと抱きしめていたいという俺の本音がバレているなんて!
「ずっとしてるから、ずっとしてればいいの」
百華はにっこり笑って、リビングを出て行った。
恥ずかしい気持ちだけが残され、俺と桃ちゃんはしばし、照れる。
それから、互いにはにかんだ。
「もう、ももは……。いつ見てるんだろう?」
彼女が照れ笑いしながら、小首を傾げる。
「うーん、いつだろう?多分、知らない時にこっそり……」
「こっそり、か。まあ、なるべくあの子の前でそういう事しないようにしてるけど、バレてたね」
「ね。まあ、俺も今みたいに百華の前で、桃ちゃんハグしたりしてるから、ああ言うのはしょうがないというか」
「ふふっ、じゃあ颯斗が見せちゃってるんじゃん」
「うっ、俺のせいか。でも、桃ちゃんに触れたいのは我慢できなくて」
彼女は、困ったように眉を下げる。
「百華の前では、極力我慢して」
「分かった。じゃあ、今ならいい?」
俺は彼女の腕を軽く掴み、そっと抱き寄せた。
見つめ合って、キスをする。
慈しむように、何度も。
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