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「ずっと若くて綺麗だよ。栗山さんは」
西山君は、慌ててフォローする。
「ありがと。お世辞でも嬉しい」
「お世辞じゃないって」
桃ちゃんがはにかんで、俺は少しだけ嫉妬する。
小者な俺は、まだ西山君が彼女に想いを寄せていた過去を気にしていた。
現在彼は、俺と桃ちゃんが勤めていた会社にずっと勤めており、課長に昇進し、数年前に知り合った女性と結婚を前提に付き合っているという。
彼も新しい未来を進んでいると知っているのに、まだどこか安心できない自分がいて困った。
きっと俺は、彼女のことがずっと好きでたまらなくて、それで他の人に取られないかやきもきしているんだろう。
結婚したら少しは落ち着くと思ったけれど、余計にひどくなった気がする。
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