桃と俺

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「西山君、何か決まったら教えてね」 俺は嫉妬の火種を、冷静という水で鎮火させてから彼にお冷を出す。 「あー、今頼んでもいいっすか?」 「もちろん」 「じゃあ、いつものアメリカンとあとは、たらこクリームパスタのサラダセットで」 「かしこまりました。少々お待ちください。コーヒーは今飲む?それとも、食後?」 「食後で」 「分かった」 俺は、楽しげに話す西山君と百華の様子を見ながらたらこクリームパスタを作っていく。 「みてみて、いまかいたのー」 西山君の隣にちゃっかり座る百華がお絵描き帳を、彼に見せる。 「へえー、上手いじゃん絵。これは、にしやまさんってことは俺?」 「うん。これとこれも、これもにしやまさんだよ」 「えっ、マジで?わぁ、こんなに俺ばっか描いてくれてマジで嬉しいわ〜。この俺の隣にいる女の子は百華ちゃんか。これは、何してるの?」 「ももとにしやまさんがブランコのってるの」 「なるほど。じゃあ、これは?」 「いっしょにごはんたべてるの」 「これは?」 「いっしょにおかものにいってるの」 「おかもの……ああ、お買い物か」 「そう、おかいもの」 「へえ、どれも俺たち楽しそうだね」 「うん。でーとしてるから、たのしいの」
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