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ツッコミを入れて、一人であたふたする俺とは正反対に、桃ちゃんは朗らかに笑っている。
「も〜、おませなんだから。どこで覚えてくるんだろうって思うことばかり、最近言うんだよね」
いや、桃ちゃん、気にするところはそこじゃない。
『デート』という言葉をどこでいつ知ったのかはさほど問題はない。
問題なのは、西山君に幼稚園児の百華が恋をしていることだ。
それとも、彼女は百華の西山君に対する気持ちをそこまで深く捉えていないのか?
一瞬の、幼稚園児の可愛い可愛い、曖昧な恋似た気持ちだと捉えて、軽く受け流しているのだろうか。
俺は、親として軽く受け流すのがいいのか、重く受け止めるのがいいのか葛藤する。
「成長してる証だね。大人になるのはあっという間だね。特に女の子は。百華ちゃんは、大人になったら何になりたい?」
西山君も彼女と同じく、軽く受け流し、さりげなく話題を変える。
「うーん、とりあえずたくさんべんきょして、がっこういって、かいしゃいってから、にしやまさんのおよめさんになる」
百華は考える間もなく、既に克明に描かれた未来予想図を語る。
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