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最近めっきり俺には見せない、上目遣いで訊く可愛いポーズで、百華が悲しげに問う。
「そんなことないよ。百華ちゃんは可愛いから、可愛いお嫁さんになると思うよ」
西山君にキラキラの笑顔で言われて、一瞬でノックアウトされた百華が頬を赤らめて照れるのを見て、俺は立ち眩む。
西山君も百華に合わせているだけで全て冗談だと思うけれど、そう分かっているけれど、父親としては複雑だった。
娘は、誰にもやらん!、とまさにそういう心境。
「西山君、何度も訊くけど本気で本気じゃないよね?」
「さあ?ちょうどつい最近彼女と別れたし、どうしましょう」
「うえっ⁈ど、どうしましょうじゃないよ!」
「本気で怒らないで下さいよ。それはそうと、俺の注文したやつまだですか?」
「い、今から作るよ」
「マスター、サラダはオッケーです」
「あ、奈良君、ありがとう」
奈良君と、気もそぞろに料理を作る。
パスタとサラダを出して、それを食べる西山君の側には、やはり張り付いたように百華がいた。
片時も離れたくないと言わんばかりだ。
まるで、桃ちゃんに言い寄っていた頃のいつしかの自分を見ているようだった。
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