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そして、夜。
西山君と会って、別れた後は決まって落ち込む百華は夕食を少しお腹に収めてから、桃ちゃんとお風呂を入ってそれから普段なら動画を見たがったりして夜更かしするのに、今夜は早々と自室のベッドに入った。
桃ちゃんや俺の就寝前の朗読さえも断り、百華は眠りをつく。
「いつものことながら、よっぽど西山さんと離れるのが辛いみたい」
百華が眠るまで側にいた桃ちゃんが、寝室に入って来るなり言った。
「まあ、離れるのはしょうがないんだけど。ももも分かっているんだろうけど、寂しいのは誤魔化せないんだね」
桃ちゃんは、先にベッドに入る俺の隣に座る。
「……百華の気持ちは尊重したいけど、やっぱりまだ早いんじゃないかな。それに相手は西山君で……」
「きっと、今だけだと私は思う。私も百華ぐらいの時は、よく好きな相手がころころ変わったし」
「えっ、桃ちゃんも幼稚園の時から好きな人とかいたの?」
「早い子は早いよ。恋を知るの」
小学生まで恋が何なのかあまり良く知らなかった俺は、あまりピンとこなかった。
「早いんだね」
「颯斗は、百華の相手が西山さんじゃなくて同年代の子だったら反対しない?」
彼女に問われて、俺は考える。
「……あまり反対しないけど、でもやっぱりまだ恋は早いって言うな」
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