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当然と言わんばかりにきっぱり答えると、彼女は微笑む。
「やっぱり年齢は関係なくて、ただ百華の興味がそっちばかりに向いているから寂しいんだね、颯斗」
クスクスとからかうように図星を突かれ、俺の頬は火照る。
「っ、さ、寂しいかどうかは置いておいて、まだ今は恋愛は早いっていう結論は曲げられないな」
「はぐらかさなくてもいいのに。じゃあ、百華が年頃になっても、そう言うの?」
「そんな先のことは考えたくない」
「あっという間に来ちゃうかもよ。百華が生まれてからの6年だって、振り返るとあっという間に過ぎたから。あんなにふにゃふにゃして小さかった赤ちゃんが、ほぼ身の回りのこと自分で出来るようになって、恋をして、颯斗を言い負かすんだから」
「うっ、年々と口じゃ勝てなくなってきてる気がするよ。まあ、それだけすくすく育ってくれてると思うと、感慨深いというかなんというか……」
「嬉しくもあるよね。だから、西山さんに対する気持ちもあの子の成長過程において大切な経験かもしれないから、私は見守りたいな。いつか、あの子から気付いて諦める日が来るまで」
彼女の子育て論には一理あり、抑制や反対ばかりでは情緒的なところで伸びるものも伸びないという持論に同感する。
これからもっと同年代の子と付き合っていくうちに、いつか自然と気付くことがあるだろう。
親は、子供のそういう時を見守る役割なのかもしれない。
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