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勅使河原さんだった。
彼は、私めがけて手をちぎれそうなほどぶんぶんと振りながら、走って来る。
私の近くに来ると、ひどく息切れしながら両膝に手を置いた。
私は、息を切らしてまで走って来た彼を目を見開いて見つめた。
「っ、はあ、はあ、桃、ちゃん……、はあ、おは、おはよう!」
深く深呼吸をして、息を整えてから背筋を伸ばして、ずれた眼鏡の位置を直すと朝から太陽に負けないくらいの明るくて爽やかな笑顔を向ける。
眩し……!
「勅使河原さん、おはようございます。どうしたんですか?まだ、時間大丈夫ですよ?」
会社の就業時間まで、まだ大分あるからそこまで急ぐ必要はないのに。
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