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「はあ、はあ、……えっ?それは、桃ちゃんの姿が見えたから……。一緒に行こうと思って」
まだ微かに息を切らして、額にキラリと汗が滲んでいても爽やかな雰囲気をまといながら、暑いのか頬を赤らめてそう言った。
……私の姿が見えたから、わざわざ走って来たらしい。
そう分かって、胸が甘く締めつけられて痛くなる。
っ、だからって別にキュンなんて、していない!
私は胸の痛みを見て見ぬふりして、歩き始めた。
「あっ、待って、待って」
勅使河原さんは手早く、ハンカチで額の汗をぬぐいながら私の隣に来て一緒に歩く。
汗をかいているというのに、いい匂いのレモンの香りがした。
眼鏡を外して汗だくの顔をハンカチで拭う姿も、いちいち様になっている。
……眼鏡を外しても、汗だくになっても国宝級イケメン。
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