閑話~Mission:根性悪を駆逐せよ!~

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閑話~Mission:根性悪を駆逐せよ!~

…どこでしょ、ここ? 「『ティーリズ』。何故ゲームの通りに行動しないんだ?」 と、青い髪と空色の瞳の男の人が言った。 うん、全体的に青いわ、この男。 "ゲーム通り"? ゲームじゃないのに、何故ゲーム通りに行動しなくちゃならないの? 「え?ゲームの世界だから、だけど?それに…ゲームの通りに行動したら、家に還してあげなくもないけど?」 「…"家に還す"?"あげなくもない"?…随分偉そうな物言いですこと。それに…ゲームの通りに行動するということは…ラドの命を狩ることになるわよねぇ…。………返り討ちにされそうだから嫌よ」 そう言うと男は物騒に目を細めた。 「大丈夫だ。だって"ラドルーク"は、"ティーリズ"には絶対。そうなってる。そして"ラドルーク"に生きていられると困るんだ。だってエルカイア(この世界)してしまう」 「…成立する?」 何を言ってるのかしら、この男。 「千年経っても諦めねーんだもん。(アイツ)。世界の方がエルカイアのために、世界を成立させようと俺の影響を少しずつはね除けてる。…天才は俺だけで十分なんだよ!他の兄弟たちはみんな諦めたのに、エルカイアだけは諦めねぇ!兄弟の中で一番の出来損いなのに、根性だけは!他の連中の千倍はありやがる!だけど…今回失敗したら、父上からエルカイア育成を止められるからエルカイアは滅びる。地球育成(世界を創った)成功者は俺一人で十分なんだよ!だから…俺のために動け、"ティーリズ"」 何か勝手なこと言ってるわね、この男。 それに私に世界を滅ぼさせようなんて、酷くない? 「…滅ぼしたきゃ、自分でやりなさいよ」 こう言うと 「何言ってんだ?俺は品行方正の、"優しい兄"なんだぞ?俺の手を汚す訳にはいかないし、俺の企みがバレる訳にもいかないんだよ!ということで…俺の言うことが聞けないなら、マリオネットになってもらおうかな。エルカイアに俺がいるとバレると困るから本気じゃないけど、君の夢の中とはいえ()の魔力を直接受けると精神壊れちゃうからねー」 なんなの、コイツ! 性格最悪。 夢の中…。 本気じゃない? 女神にバレると困る…? ってことは…なんとかなりそう。 男の伸びてきた腕を避けて… 「ラド!助けて!変な男に襲われるーーー!!!」 「ヘッ?いや、襲うわけじゃっグエェェェーーー?!」 …私を起こして夢の中から出してくれるかと思ったら、まさか夢の中に入ってくるなんて思わなかったわ。 しかも入って早々、男の首を絞めて持ち上げるって…相当怒ってるわね。 ボカッ! 「イテェ!父上にだって殴られたことないのに!って、"ラドルーク"?!なんでティーリズの夢の中に…。…ちょっと待てよ?夢の中なら、俺が直接コイツの命を取っても、って!なんで?!魔法が全然使えない…」 ラドに殴られて真っ赤に腫れ上がった左頬を押さえた青い男。 ニヤニヤ嫌な笑いを浮かべたけど、ラドは不機嫌にこう言った。 「アホか。無意識の夢ではなく夢と解ってる夢なら、後付け設定できるだろ。"俺とリズ以外は魔法が使えない夢"で認識した。その上、"リズに手を出そうとしたバカは、武器も使えず赤ん坊並みに弱い"」 「………俺は強い、俺は魔法も強い、俺は体力もある!ヨォシ!後付け設定更新!死ねぇ『ラドルーク』!!!」 ベチンッ! 「いたぁい!今度は俺の右頬が!」 ラドが軽ぅ~~~く男の右頬をひっぱたいたら男は目に涙をいっぱい溜めて手で押さえ、ヘナヘナと横座りした。 「…なんで設定が更新されないんだ?」 心底不思議そうな声に私とラドの声が揃った。 「なんで私の夢で、変態の言うことを聞かなきゃならないの?」 「なんでリズの夢で、変態の言うことを聞かなきゃならないんだ?」 「俺は変態じゃない!」 「そもそもリズは俺のだ!ドコゾの変態に渡して堪るか!」 「だから変態じゃねぇって!俺は"神"なんだぞ!!!」 ヒュ~~~ 「あ、ソレ言っちゃダメ!」 「あ、あれ?なんか冷えてきたぞ…?」 ラドは女神エルカイアが何故だか大嫌い。 "神"ワードは禁句なのに、言っちゃったわ、この人。 …一応神様なら仕方ない、助けてあげようかな。 「ラド?ずっと変態見てて、私のこと見てくれない…。変態さんの顔、整ってるから気に入っちゃったのかな?ツマンナイ」 するとラドは、凍りかけてた男を放り出して私の元まですっ飛んできた! 「俺はリズ以外に興味ないって!あんな男の顔なんぞ、ブタだろうが牛だろうがボコボコだろうがどうでもイイ!…リズ。俺が好きなのはリズだけだ」 「嬉しいな🎵」 頬にチュッ❤️とされてると 「…おかしい。『ティーリズ』は全て別人だから性格が毎回違うのは理解してるが、『ラドルーク』って、こんなんだったっけ?…異様に強いし。…独り者の俺の前でイチャつきやがって、腹が立つ!ギャラリーのことを考えろ!!!」 吠える青い男に 「あ?お前まだいたの?逃げるのだけは許してるのに。やっぱりボコボコにして放り出さないとダメか?」 冷たい目で見下ろすラドに青い男は見上げて目を見開いた。 「………い、いえ。邪魔なんかしません。大変失礼しました。静かに帰らせて頂きたいと思います。ご無礼致しました…」 そして殴られて膨らんだ左頬とビンタされて紅葉痣の右頬そのままに、スクッと立ち上がり姿を消した。 遠くから、恨み節が聞こえる。 「クッソォ…絶対にずぇぇぇぇたいに、エルカイアは育成禁止に追い込んでやるからな!覚えてろーーー!!!」 するとラドが 「やれるもんならやってみやがれ!…エルカイア(女神)をド突いて回って妨害を調べさせ、メンドクセエけど俺がその妨害を阻止して回ってやるよ!今度その顔を見たら、容姿をデコボコに変えてやるから覚えとけよ!!!」 「!…デコボコ…」 その後は何も聞こえなくなった。 青い神様はいなくなったけど…どうしよう? 早く目覚めないとマズイ。 ラドがジリジリ迫ってくる。 本当に襲われちゃう!!!
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