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イジメ(失敗)三連続①
(…何してるのかしら、あの子?)
マリィ嬢に呼び出されて早く学校に来たら、マリィ嬢が机に俯せてガサゴソ何かをやってた。
そ~~~っとコッソリ近づいて後ろから覗き見たら…ノートにキッタナイ字で書き込んでいる。
えっと…ナニナニ?
"男爵令嬢ごときがセドリック様に近づいているんじゃないわ!"
"いい気になりませんことよ?わたくしにかかればあなたなど、どうとでもできます。さっさとセドリック様から離れなさい!"
…ゲームじゃないんだから、私書かないわよ?
そんなこと。
さて、どうしましょうか。
(「…せっせと書きまくってるその姿、記録に残しとけばいいんじゃね?冤罪掛けられたら無罪の証拠として提出できるだろ?」)
斜め上から聞こえた声にギョッとして振り仰ぐと…ラドがいた。
どうしてココにいるのかしら?
(「俺はいつでもリズを見てるから」)
………どうしよう?
ジオハース王国の第二王子がストーカーに成り下がってるわ。
まぁそれよりノートがムダになって勿体ないわね。
止めさせよっと。
ラドを教室から追い出してマリィ嬢の真後ろに立つ。
「マリィ嬢?字の練習、もっとなさった方が宜しいですわ。辛うじて読めますが"マルース男爵令嬢"としては欠陥品扱いになりますわよ?」
声をかけるとマリィ嬢は椅子から飛び上がり胸を押さえている。
気配を殺してたから相当驚いたのね。
でもキランっと目を光らせ、慌てて涙を浮かべるのは流石だわ。
「酷いわ!ティーリズ様…。セドリック様と私は愛し合ってるの!お認めください。こんな嫌がらせしないで…」
「私、嫌がらせなんてしていませんわよ?」
「嘘を吐かないでください。これ…」
と言ってノートを差し出してきたのでラドが記録していた魔法の記録玉を代わりに出してみた。
記録玉のマリィ嬢は目を爛々と光らせ、一心不乱に自分のノートに悪態を書きなぐってる。
その自分の姿を見たマリィ嬢は顔をひきつらせている。
「な、なんだってコンナモノを残してるのよ?!」
「ラドが『冤罪避けだ』って、撮ってくれましたのよ?ですから私が書いたわけではないってことが証明できますの」
「うくぅ~!ラドルーク様、邪魔!というか私、昔話の包丁を研ぐバアサンみたいじゃない!醜い!こんな記録残さないでよ!!!」
などとマリィ嬢と話してる間に教室の外ではラドとセドリック様が話している。
マリィ嬢がセドリック様も呼んだらしい。
「俺は!マリィをティーリズの魔の手から助けようとしてるだけだ!」
「リズは何もしてない。だから魔の手なんてあるわけない。呼び出しもリズじゃなくてマリィ嬢からだし」
「んなわけあるか!マリィはティーリズに怯えてるんだ!呼ぶわけ無いだろ!」
「怯えてるぅ~?まっさかぁ~。あの女、根性アリスギじゃん?ズブトサなんか、リズじゃ太刀打ちできねぇって!セドリックもマリィ嬢に守ってもらえばいいんじゃね?たぶんルクレーセ伯爵にも立ち向かえるぞ?」
「お、お爺様にも立ち向かうだなんてムリだろ!」
「いや?たぶんあの女ならネオンポール杖強奪して、魔法の勉強してないから殴りかかるくらいすんじゃね?」
「できない!マリィはか弱く儚いんだ!ティーリズと違ってな!ソコを退け!俺はティーリズからマリィを守る!」
とセドリック様が教室に入ってきたので、もう一度記録玉を再生してみた。
…マリィ嬢に記録玉ごと、即座に教室から叩き出されてしまった…。
恐ろしい力業だったわ…。
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