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イジメ(失敗)三連続③
「ティーリズ!私、下品よ?!ホラホラ!!!」
とマリィ嬢に隣に引っ付かれてウンザリするわ。
ただいまクレアとリミテと一緒にお茶を飲んでるのだけれど…なぜ一緒なのかしら?
ティーリズが誘わなければ、お茶掛けイベントは発生しないはず。
私、呼んでないわよ?
それにお茶を掛けないわ。
だってセドリック様が煩いもの。
「「……………?」」
クレアとリミテがマリィ嬢を見て不思議そうに首を傾げている。
…うん。
理解できるわ。
ティーリズに虐められたいからお茶会に参加しようだなんて、マゾっ気のあるヘンタイにしか思えないもんね。
「グビグビグビ、バリバリバリ、ムシャムシャゴックン!サァ!『下品よ!』とお茶をぶっかけなさい!ホレホレホレ!!!」
とマリィ嬢が私の手首を掴み、お茶の入ったカップを頭の上に引き寄せようとする。
と。
「…こんなところにいやがった。マリィ嬢。今日はなんの日なのか忘れたのか?年に一度のセドリックが森で騎士団と共に魔獣を討伐する日だぞ?セドリックが『愛する女性がいない!無事を祈ってくれないから出陣しない!!!』って駄々こねてるぞ?」
宙から現れたラドにマリィ嬢がハッとした顔をした。
…え~っと確か…ゲームでもイベントがあったわね。
"光の乙女"マリィが、セドリック王太子の騎士団随行遠征で祈りを傾ける話。
アレが今日だったのね。
興味がないから忘れちゃってたわ。
けれど…マリィ嬢がブツブツ言い出した。
「…え?なんで?確かあのイベは"ティーリズとラドルーク王子のいさかい"が発生しないと起こらなかったはずじゃあ…」
『ティーリズとラドルークのいさかい』?
…あ~。
そういえばそんなイベントあったっけ。
でも私とラドに
"いさかい"
なんてないけど。
ところがマリィ嬢は私とラドを交互に見る。
「いつの間に喧嘩したのよ?!言ってくれなくちゃ困るじゃん!」
と言われても。
喧嘩してないし。
「俺とリズが喧嘩なんかするかよ。それよりセドリックのことはいいのかよ?」
するとマリィ嬢はハッとした顔で慌ててドレスの裾を掴み、全力で走り出した!
…マジデスカ?
重いドレスで全力走り。
勿論魔法で重量を変えて軽くすることはできるけど、魔法が苦手なマリィ嬢がそんなことできるはずない。
「…アレ、本当に男爵令嬢かよ?体力が魔物並みだぞ?」
「…熊と楽しく追いかけっこできるセドリック様とは良いカップルだと思いますわよ?」
私がそう言うと、ラドはおろか黙っていたクレアとリミテも
「「「あぁ!なるほど~」」」
と納得していたわ。
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