02 *

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02 *

 目の前に大きなぷりっとした魚が出てくる夢を見た。魚は強く、猫の姿のままで格闘になったが何とか噛みつくことができた。もう少しで食べられそう、というところで俺は目を覚ましてしまった。  確か、ユーリさんの膝の上で急激に眠くなって、丸くなったような……ところで、俺が裸なのは何故でしょうか。 「ずいぶんな間抜け面で寝ていたな。良い夢でも見たのか?」 「……あれ、ラルヴァさんだ。おかえりなさい……? あの、もうちょっとだったのです! 夢の中で大きな、美味しそうな魚を仕留めようと思って……」  俺を覗き込んでいるラルヴァに、起き上がって説明しようと思うのに、腰が痛い。激しくされた時の感じにとても似ていて――俺は、寝台の上で再び潰れた。 「しっかり留守番してえらかったな。……眠りこけなきゃ、満点だったのに」 「ええー? いつ帰ってきたんですか、ラルヴァさん! うわあ、しかも首のところ……噛まれていません? 痛そう」  血は止まっているようだけれど、がぶっとやられた形跡にドキリとする。もしかして、お城から離れたところでもラルヴァは戦ってきたのかな、と思うと。ようやく、昨夜ユーリさんが言っていたことの意味が分かってきた気がする。 「痛くはない。で? ……夢に出てきた大きくて美味しそうな魚に、思いっきり噛みついたのか?」  そうです、よく分かりましたね! と俺は大きく頷こうとして、腰の痛みにまた呻く。それを見ていたラルヴァが、笑いながら俺の額に口づけてきた。 「ご褒美をやろうか」  そう言って男前が微笑む。うっかりと流されかけた俺だが、腰の不調を思い出し、じたばたと暴れるとふっと痛みが良くなった。 「あれ? ラルヴァさん、すごいです! 痛いのが消えましたよ!」 「そうか。……まあ、俺のせいといえばそうだからな」  どういう意味でしょうか。そう問おうとしていたら、いきなり入り込んできたラルヴァの熱く硬いもので激しく腰を突き上げられ、俺は「ひゃん?!」と情けない悲鳴を出していた。にゃん、と言わなかっただけ自分を褒めたい。 「らっ、……ラルヴァさ……やっ、あ、あ、っん!!」  いつもだったら、ちゃんと『まえじゅんび』というものをしてくれるのに。あまりにも突然で俺は揺さぶられるままに――いや、しっかりと受け入れていた。むしろ、いつもよりもすんなりと。ぐちゃぐちゃと濡れた音を立てて、俺のおしりが頑張ってラルヴァを受け入れている。 「……な、んか……きもち、いっ、」 「気持ち良いことだけをしているからな。さすがに朝までしていれば、身体も馴染むだろう」  笑いながらラルヴァさんが、向かい合ったままの俺に口づけてきた。あれ、今なにか、変なことをラルヴァが口走ったような。 「あの、朝までって、どういう……ひっ、やああ……、っ」 「魚に襲われる気分はどうだ、リィズ?」  さかな。もはや、自分でも何を言われているのか分からないくらいに追い詰められた俺は、せめてラルヴァにも喘ぐ声を出してほしくて、頑張って腰を振ってみた、が。返ってきたのは「下手だな」というばっさりとした一言。 「ひ、ひどい……あ、あ……ん! あっ、……あっ、あ……っ」  そして今までよりもいや増した動きに、俺は目をかたく瞑って、ラルヴァが吐精するまで喘ぐしかなかった。 「魚に襲われた気持ちは、どうだ?」  今までになく激しい交わりの後。  俺は本当に自分が消滅するかもしれないという緊張感もありつつしっかりと身体が悦んでしまい、結局俺も意識が遠くなるくらいまで夢中になっていた。とりあえず、消えなかったのでやはりラルヴァが冗談で言ったという『絶頂を迎えたら消滅』説は覆せた。 『……魚、さかなって何ですか、さっきから。……あれ、まさか……』  黒猫の姿になった俺は、ラルヴァの膝の上で腹を見せた格好で寝転がっていたが、ようやくラルヴァの言っていることの意味が分かって、飛び上がりかけ――がっちりとラルヴァに捕まった。 『すすすっ、すみません!! 俺、寝ぼけてラルヴァさんの首にっ、は、歯形を……?!』 「まあ、意識のないリィズは声もたっぷり出していて可愛かったから、許す。……お前といると、何故か楽しいだとか、そういう感情を思い出す気がする。……これからも、しっかり祝福係に励めよ」  ラルヴァに捕まったまま、「はい!」と自分の猫手をぴょいと挙げると――今まで見たことがないくらい、優しい顔でラルヴァが笑った。    Fin.
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