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……聡子が、塔ヶ崎くんを……好き?
私が塔ヶ崎くんの言葉に反応するより早く、清夏が口を開いた。
「それはナイ」
私も同意した。
「それは、絶対にナイ」と。
「確かに、塔ヶ崎くんは顔立ちも綺麗だし?
いつも女の子といるし、モテるんだと思う。だけど、さすがにその自惚れはナイっていうか……怖いー。引く 」
パスッと清夏がパイセンから塔ヶ崎くんに戻した。
「え、いや、だから……」塔ヶ崎くんが何か言おうとしたけれど、私も黙っていられない。
「うん、私も、どこをどう取ったら自分の事を好きだと思えるのか、逆にすごいっていうか、どんだけ自惚れ強いのって……怖すぎて、引き潮より引く」
「え、いや、だから……」
「もうハッキリ言うけど、聡子、塔ヶ崎くんの事、毛嫌いしてるよ?」
「……毛!?」
「うん、毛虫より嫌いだと思う」
「……毛!?」
「聡子は大人だからさあ、態度に出したり口に出したりはしないけど……」
「ねぇ?」
私と清夏は顔を見合わせて頷きあった。
「あ、もしかして真面目な聡子を自分に惚れさせたいわけ?」
「塔ヶ崎くんて、ちょっとそういうとこあるよね」
「わかるー、猫とか蹴ってそう」
「おい! お前ら~! 違うっての。聡子がそう言ったんだよ。俺も違うと思ったし、嫌われてる自覚もちゃんとあったわ。……毛虫よりは嫌われてないと思ってたけど……」
……聡子が?
そう言った!?
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