1.ペア

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1.ペア

頭脳明晰、容姿端麗。才色兼備。完全無欠。バカな私でも知っている四字熟語。更に「“沈黙寡言”なんて言葉もあるよ」そこそこ賢い細川清夏(きよか)がそう言って、「“寡言沈黙”の方が私は好き」銀縁の軽そうな眼鏡を、折り畳んだ人差し指の節でくいっと上げて、才女の聞こえ高い佐鳥(さとり)聡子(としこ)は言った。 「頭脳明晰、容姿端麗、沈黙寡言、寡言沈黙」 よくわからない熟語も二つ加わったけれど、誉田(ほんだ)昂良(たから)はそれを表す人だった。 「でも、変わってるって噂」清夏がチラリと彼の現在地を確認するとそう言った。 「偉人変人」聡子がもう一つ熟語を加えた。 「賢すぎる人って、私からみたらみーんな、変わってる」 聡子に自覚があったのか、チラリと私を眼鏡越しに見る。 「変人でも、好きだもん」誉田くんも、聡子も。 聡子が「まあね」なんて、余裕の顔。真面目一直線で休み時間も勉強しちゃうような聡子とは気が合うというより、私が聡子を好きだから一緒にいる。 私と真逆の聡子には強い憧れがあるのかもしれない。その間くらいにいるのが清夏で、緩衝材のように清夏は私たちを取り持ってくれてた。 変わってる、変わってないで言うと、私は清夏の方が変わっいてると思う。こんな聡子でさえ認める、完璧イケメンな誉田くんに『興味がない』なんて言うのだから。
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