1.ペア

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ことに、男女関係においての趣味趣向は清夏が一番 。 「誉田くんより、日野くんの方が好き」なんて言うのだから。清夏の『好き』は恋ではなく誉田くんよりマシという意味で使われている。だけど、それでいい。ライバルは少ないに越したことはないからだ。 「イケメンはイケメンだよね」色恋には疎そうで興味がなさそうな聡子でさえ、こう言うのだ。 イケメンなんてもんじゃない。イケメンを過ぎるイケメンだ。その誉田くんにときめかないなんて、清夏は変わってる。 「おっはよーん! 女子のみなさん! 」 そう言って、ここに入ってきたのは、誉田くんと真逆の男、清夏が誉田くんよりマシだと言った日野陽太。 せっかくなので四字熟語で表すとしよう。 「饒舌多弁」「単純明快」「馬鹿正直」 口々に言ってみる。 「え、何それ、事実無根」不服そうに言うものの、へらへら笑っている。 「いや事実でしょ」一瞥して言い放つ 「俺、熟語苦手~」 「熟語だけじゃないでしょ」 「英語は?」 「得意!」 「何か言ってみ!」 「Dental clinic(デンタルクリニック)!」 物凄くかっこつけて発音した“歯医者”にため息が出る。 「……馬鹿だ」 「あ、熟語もいっこ知ってる。これはどう? 酪農牛乳!」 手に持った牛乳パックの文字…… もう一度全員で床がもわーっとするような、深い深いため息を吐いた。 のがマシなんて、清夏は本当に変わってる。
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