夏に魂が宿る霊

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 近場にある墓場でお化け屋敷をしようという話題が出た。  女子一人もいない寂しい男子達のイベントみたいだ。 「赤坂(あかさか)も行こうぜ」 「別にいいよ」 「おう、赤坂も参加するって書いとくわ」 「了解」  夜な夜な墓場でお化け屋敷をする事になった。  順番はくじ引きで決まり、我慢大会が始まるように一人ずつ入っていく。  時間を空けたら「はい、次!」と主催者が喋り出す。  ようやく順番が回ってくると真横にあるお墓たちの真ん中を歩いた。最初に居た場所へと戻ればゴールだ。  すらっと真っ白な白い物が赤坂こと僕の目に映し出す。目を擦りながら白い物を追うと、正体は真っ白なワンピースだった。  今回のイベントには、女子など用意されていない。僕の目の前に女子が居た。黒髪で、ストレートロングの女子らしき人間が立っている。『らしき』なのは足の部分が見えづらくなっているからだ。  もしかして、幽霊・・・・・・?  まさか幽霊に遭遇する事になるとは思わなかった。  美少女の幽霊がこちらへと向かい、顔を近付かせる。幽霊の顔面は、人間と何も変わらず、そこら辺の女子より綺麗だ。 『私が見えるの?』 「う、うん」 『じゃあ、叶えて欲しい事があるの。明日の一日だけでいいから、体を貸して欲しいのっ』 「え? なんでですか?」  いきなり飛びつくように質問をした。僕の体を貸すのならば貸す理由くらいは聞いておきたかった。  いくら美少女の幽霊のお願いでもだ。 『んー、私が生きていた頃にね。仲良くしていた友達が居たの。いつも墓場に拝みに来たの。だから友達に会いたいから』  少し離れてぷかぷかと浮かぶ美少女の幽霊。話の内容を伝えながら、お墓達を切なさそうに見つめる。 『どうか体を貸して欲しいです。お願い!』   ただ墓場に友達が拝む姿を見て生身の人間として会いたいという理由でお願いされる。
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