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僕のぼやけた意識が段々と自分の体へに吸い込まれる感覚になった。
目を覚ませて視界が広がっていく。
「え? ここって」
見渡せばお墓場ではないのは一目瞭然だった。
「当事者は、お静かに」
「すみません」
周りは、ドラマで見た事があるようなセットされた裁判所だった。
裁判官らしき人の言葉に、つい反応をしてしまう。
「では、この女性を殺害した貴方ですね?」
僕の所まで警察官が来ると、見せられた写真は、全く見知らぬ女性だ。
「見覚えがないです」
生まれて初めてみた女性の顔だった。嘘偽りになく答える。
警察官の渋る顔に『犯罪者扱いなの?』と思った。
思考停止をしている僕を見た、裁判官が改めて、ことの説明を淡々と話した。
僕が写真に映る女性を殺害したと。
冷や汗をかきながら動揺する僕。
これは・・・・・・冤罪だ。だって、体は美少女の幽霊に預けたのだから。
真上を見上げても美少女の幽霊は、現れてこない。
僕は、殺害をした事や女性との接点がない事に関して、全面的に冤罪だと拒否し続けた。
次に裁判官が母親や男友達を法廷に呼び出す。
「あんたをそんな風に育てたつもりなかったのに・・・・・・んんっ」
「嘘だろ、お前が人殺しなんてさ。今も信じられないよ」
順に僕についての怒りや悲しみを訴えてきた。周りが事実を認めろというかのように雰囲気を漂わせる。
実際に僕が、誰かを人殺しした覚えがない。何度も勘違いだと発言をしても、誰一つ信じてはくれない。
カンカン。
「では、この裁判の結果を言い渡します。可決しました。反省の色がないということで『死刑』を宣告致します」
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